メロンオレと牛
昼食を買いに弁当屋へ行った際、待ち時間に明治オ・レ メロンをふと買ってしまった。
カフェオレ、いちごオレという有名所と共に、バナナオレ、メロンオレが冷蔵庫内に鎮座しており、メロンオレが残り1つだったのが目をひいた。
加えて、最近いただき物のメロンを食べる機会があった。
角度の緩やかな半月型にカットされたメロン。元々種があった箇所、つまり中心に近い部分がじゅくじゅくに熟れていて、やや形くずれしていた。
「スマート」という言葉こそ、メロンの見た目と味わいを形容すると思っていたので、見た目の妖艶さに驚く。
味わいも言うまでもなく、甘くて、ジューシーで、感嘆符が止まらないくらいの美味さ。おかげでメロンという果物のイメージが、ランキング圏外から、トップ5くらいへと急上昇していたのだ。
弁当を待ちながら、一足お先に買い求めたメロンオレを眺める。
明治オ・レのパッケージには、アンニュイな雰囲気でこちらをじっと見つめる牛が描かれていた。
彼が佇む場所は牧場だろう。牧草を踏みしめ、周りには高く細い木が生え、背景には細長くのびる山脈が連なる。
牧場で飼われている牛は、彼1頭だけではないはずだろう。何十、何百という牛の中で彼が飲料のパッケージに選ばれたのは、牧場主か取材班の何らかの思い入れがあったのか。仲間と別にされ、山々をバックにして写真を撮られる(写真を取ってこの絵が描かれたのだろう)彼の心情はいかほどだろう。
「お前のお乳は、メロンオレになるんだぞ」
と、牧場主に声をかけられたりするんだろうか。などととりとめもない妄想をする。
牛乳とメロンか…。
不思議な組み合わせだと思いつつメロンオレのパックを傾け、原材料欄に目を向ける。
「種類別名称:清涼飲料水」
「原材料名:砂糖(韓国製造、国内製造)、乳製品、デキストリン、食用油脂、濃縮メロン果汁、食塩/乳化剤、香料、着色料(カロチノイド)、甘味料(ステビア)」
………乳飲料じゃないのか君は…。
牛くん。君のお乳はメロン風味の清涼飲料水になっているよ。
牛乳じゃなくて、乳製品名義になっているよ。
世のままならなさを思い、遠い目になる。
パッケージの牛の表情も、もう一段階アンニュイさを増したようだ。
清涼飲料水を調べてみると。
清涼飲料水とは、乳酸菌飲料や乳製品を除く、アルコール1%未満の飲料のこと
清涼飲料水には、炭酸飲料や果実飲料、コーヒー飲料、茶系飲料、ミネラルウォーター類、豆乳飲料、野菜飲料、スポーツ飲料、乳性飲料などが含まれる
とあった。
いや、飲料に優劣などない。美味しければいい。心が満たされればよいのだ。きっとそうだ。
牛に深い感謝をしつつ、メロンオレは食後に楽しもう、と思うのであった。