東北自然歩道が一つ、青森県の「編笠林道」を歩いた
旦那と編笠林道を歩いた。
編笠林道は、新・奥の細道と呼ばれる東北自然歩道の一部となっている林道である。弘前市の座頭石から、円山応挙の幽霊画で有名な久渡寺を結んでいる。
散策コースとしては、下記ページの8番「座頭石と久渡寺参拝のみち」の最後辺りから歩いたことになる。
運動不足解消と、毎年恒例の八甲田登山の前哨戦の意をこめ散策。人はほとんどおらず、静けさが心地よい林道であった。
運動広場横の駐車場に車をとめ、座頭石から出発。
「ざとういち」ではなく「ざといし」
正確には「ざとういし」らしいが、弘前市民は大体4文字で呼ぶ(はず)。
経路は以下。
座頭石(ざといし)→ 編笠林道 → 子どもの森入口 → 久渡寺観音堂
観音堂から逆走し、車へ戻ってくる。
座頭石を背を向け、久渡寺山方面へ歩き始める。
この日は天気がよく、ほぼ無風で絶好の山日和。
金色に実った稲穂が眩しい。
歩き始めてすぐに、大粒のドングリに気を取られる。
丸々と肥えた大粒のどんぐり。若々しい緑色が可愛らしい。秋がすぐそこに来ているのだな。
ガードレールや橋の欄干ではトンボたちが体を休めている。全員ソーシャルディスタンスを保っていて、なんか律儀。
歩き始めてすぐに、左手に編笠林道の看板を発見。道なりに歩いていくと木製の道標もあるため、迷うことはなさそう。
いよいよ林道へ。
折れた小枝や落葉が層を成しているのだろうか、踏みしめた土がふかふかとして柔らかい。膝や腰にも優しそうな道である。
森の中のアイドル、私の大好きなキノコを発見。
つるっとした赤いカサ、根本に白い卵型のツボ。タマゴダケかなぁ。
見つけるたびに足を止めて写真を撮るので、旦那はペースを乱されて迷惑そうにしていた。
「坂道を登って少しするとなだらかな下り」この道のりを1セットとする。アスファルトの道路が中継地点として挟まりつつ、同じような道が3セットほど続く。
似たような道を3セット分抜けると、あとはひたすら久渡寺までアスファルトの下り坂が続く。
山を越えるための道といった様相で、周囲は人の何倍の高さがある木々が連なる。
アスファルトとガードレールと注意看板以外に人工物は見当たらない。道路の真ん中に動物の糞が落ちていたり、苔むした岩肌が覗いたり。人には管理しきれない自然の雄大さを感じる。
途中、部活動か何かのグループとすれ違う。我々が下っているのだから、彼らにとっては上り坂だ。なかなかのスピードで駆け抜けていく一同。たくましいものだ。
一方、石蹴りリレーをしながら進む大の大人2人。他愛のない話をしながら進んでいると、ようやく久渡寺への入口が見えてきた。
小さな橋を渡り、道路を左手に進むと、久渡寺のある子どもの森だ。
唐突に旦那からクイズの出題。
「この看板には何と書いてあるでしょう。5回以内に当てたら100万円あげる」
よし!と気合を入れる。
「注意して渡れ」「ゴミを捨てるな」など普通の回答をしてみるも、当たらない。
回答権を使い果たし、案の定不正解。
正解は……!!??
名前の由来とか書いといてほしかったな。ツッコミどころが多すぎないか。
思わぬハートフルネームに2人でキャッキャウフフしながら橋を渡り、ようやく久渡寺は子どもの森入口へ到着。
観音堂を目指す前に売店で一休み。気づいたらがっつり昼食をとっていた。焼きおにぎりと天ぷらそば。煮干し出汁が疲れた体にしみる。生粋の弘前市民であるわたしは、年を重ねるほどに地元の味、煮干し出汁に郷愁を感じてしまう。
ここ「子どもの森売店」は11月にその暖簾を下ろすらしい。またひとつ、地元が寂しくなる。
もう少し休んでいたい気持ちとお別れし、久渡寺観音堂へ向けて出発。
久渡寺入口から見えるのは、うんざりするほど長い階段。果てしなく真っ直ぐの道を歩くのはちょっと苦手だ。ゴールが徐々に近づく様子がわかると、そわそわしてしまい集中力がもたない。
階段の終盤は、段の奥行が少なく歩きづらかった。後ろを振り向くと頭から転げ落ちる自分が容易に想像できる。が、まぁそんなことは起こるわけもなく。無事に観音堂へ到着。
観音堂は人がちらほら。迷惑にならないよう写真は撮らず、じっくり祈りを捧げた。
これでようやく中間地点。さて、ここからピストンである。同じルートを通り、さくさくと座頭石へ戻ってきた。
帰りは2人とも知った道なので、将来の話や、仕事の話など、雑多なことをお喋りしながら楽しく帰る。
秋晴れに恵まれ、長閑な風景を堪能できた1日だった。
運動不足でもたつく場面もあったが、道もシンプルで歩きやすかった。
青森県に来たそこのあなた。パワースポット(心霊スポット?)としても有名な久渡寺を訪ねるがてら、編笠林道を歩いてみるのはいかがだろうか。
「子どもの森売店」についての別記事はこちら。