書きたい分だけ書くブログ

冗長な戯言(たわごと)をつらつらと

弘前の春散歩はフキノトウの香り

今日はとびきりの晴天。ここ最近旦那との散歩が生活の一環になりつつあり、休日を利用し長めに町を歩き回ってきた。

歩を進めるたびに春の祝福を感じる弘前である。地面に残る雪は日陰や雪捨て場くらいになり、枯葉色に湿った土のそこここから、フキノトウが顔を覗かせる。名も知れぬ極小の水色の花も姿を見せる。見渡す限り雪に包まれ、きりりとした冷気に耐えてきたのが嘘のように思える。滑らないよう足裏を地面と平行に着かなければ、なんて考えは無用。てくてくと軽やかに歩ける4月だ。

 

目的地は少し離れた公園。2人で川沿いをひた進む。朝によくいるカモたちは姿が見えない。ちょろちょろとした小川のせせらぎが耳に心地よい。長閑な景色の反面、浅い川には流れついたゴミや、太陽を反射し虹色にてらてら光る油が浮かんでいる。川掃除があるときは参加しようと思う。

バイクを挟んで会話する男性2人組を見た。一方がもう片方に乗り方を教わっているのだろうか。ブル、ブル、とエンジンを控えめにふかしている。双方黒色の装いで、日に焼けた肌をのぞかせていた。あぁ、若者よ。4月といえば新生活の始まりだ。大学生かはたまた社会人かは知らぬが、バイクにまたがり春の風に身をまかせるがよい。自由に生きろよ。

遠目から目的地が見えるようになってきた。順路などは確認せず、方向だけ合わせ何となしに進む。私有地か、畑か、はたまた一般通路なのか、判断しかねる道が、弘前には多々あるように思う。そんな道を歩いていると、溜池(?)を発見。川にいなかったカモたちが池や土手で戯れていた。鳥好きの悪い癖で、わあっ!いた!!声をあげてかけよると、ばっさーー、と次々に飛び立っていくカモの群れ。旦那は状況をよく観察しており「黒サギが最初に飛び立って、それに驚いたカモがつられて飛んでいったね」と説明。サギがいたとは知らなんだ。今度は刺激しないようそろりと近寄らねば。

りんご畑の真ん中をつっきる謎の道を進む。雪が溶けたら農作業が本格化するのだろう、畑内には剪定された枝が、一定間隔をおいてこんもりと積まれている。「この枝で焼き芋したいな」とのんびり言う旦那。「この枝ならいくらでももらえそうだね」と返すわたし。

目的地の公園に到着。ひときわ高い見晴台へと登り、これからの生活や暮らしぶりなんかについて会話し立ち止まる。家族連れ12~13人くらいが広場に小ぢんまりしたテントを張ったのが見えた。テントには全員入らないだろうに。荷物置き場にするのだろうか。何だかほんわかする。

公園をぐるりと巡り、帰りの途へ着く。ふと、ひときわ大きな木から鳥の鳴き声が聞こえた。2~3種類程の声がするのに、一向に姿が目視できない。やはり散歩には双眼鏡が必要だ。劇場で使うためにうん十年前に買ったお古だが、次回からは持って来ようと思う。

木の先の道沿いに、フキノトウとナットウグサを見つけ立ち止まる。ナットウグサとはわたしが勝手に名付けたものだ。根元近くを手折ると、納豆のようにぬるっとした粘液が出る。誰か正式名称を教えてほしい。大人になって手折ることはなくなったが、子供時代を思い出す、親しみ深い野草だ。

分厚い土の層を突き破り、満開の顔を見せるフキノトウに触れてみた。さわわ、さわわ、と細かな花弁が、得も言われぬ心地よさ。ふと気になり指先を嗅ぐと、フキノトウの天ぷらでしか嗅いだことのない、爽やかな苦みが鼻をくすぐった。おぉ、春よ。今まで何故わたしは野草の香りに無関心でいたのだろう。無知な己を恥じて生きよう。春は、いいなぁ。

新鮮な息吹を全身で感じた心地よい春散歩。また行こう。

 

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満開。顔がふんわり柔らかく、香りがよい

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ナットウグサ。青々と図太く伸びるさまが好き。正式名称を教えてくださいまし

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フキノトウの香りをさらに直に嗅ぐため、がむしゃらになるわたし