読んだ本・漫画の備忘録&感想です。
今回は「ツンデレ悪役令嬢リーゼロッテと実況の遠藤くんと解説の小林さん」
内容にネタバレを含みますので、ぜひ読了後にお読みください。
ツンデレ悪役令嬢リーゼロッテと実況の遠藤くんと解説の小林さん1
ーーもしや
これこそが我ら王族のみに聴こえるという
伝説の『神の声』なのか…!?
物語の概要
女性向け恋愛シミュレーション『マジカルに恋して』
通称『まじこい』に登場する悪役令嬢、リーゼロッテ。人知れず苦しみを抱える彼女は、ほぼ全てのルートで死ぬ運命にあった。
放送部の遠藤くんと小林さんが画面越しにリーゼロッテの恋路を応援していると、その熱烈な実況が、リーゼロッテの婚約者ジークヴァルトに届いて…。
最高を超えた最高のハッピーエンドを目指して、2人は今立ち上がる。
ネタバレ感想
真面目で慈しみがあるのに、とんでもなく素直じゃないリーゼロッテ。手を差し伸べたいのに、却って人を傷つける振舞いをしてしまうのは何故か。思考回路を理解できない自分はまだまだ未熟だと感じる。
誤解されがちな彼女の心を、遠藤くんや小林さん、ジークが読み解き、本心を白日の下に晒す。リーゼにはなかなかに恥ずかしいことだろう。羞恥を感じた際、全力で恥ずかしがってくれるリーゼが可愛い。ツンデレと称されるが、「恥ずかしくないもん!」と意地は張らない。いや、張れないところが隙がある。よい。
事実が許容できず恥ずかしい訳で。リーゼは自信がないのね。好意を向けられる経験が少ないのかしら。公爵家の長女、そして王位継承者の婚約者という重圧もあるんだろうな。
一方ジークはどうしてあれほど素直なのか。神の声に疑いの眼を向けることなく、一心に行動できる。信心深さとは時に恐ろしいものよ。ジークが真人間でよかった。
真面目に努力した人間は報われてほしい、願わくば想い人と結ばれてほしい。そんな理想を空論と馬鹿にせず、キュートなリボンをつけて読者に差し出してくれる。砂糖菓子のような物語。
ツンデレ悪役令嬢リーゼロッテと実況の遠藤くんと解説の小林さん2
私がルールやしきたりを知らずに失敗したとき
遠巻きに笑うんじゃなく
ちゃんと叱って教えてくださるのは
リーゼロッテ様だけなんです
物語の概要
実況でハッピーエンドを目指す遠藤くんと小林さんは、ゲームの奇妙な事実に気づく。
ゲームが進むほどにリーゼロッテはフィーネと親交を深めていくが、その様子を見た婚約者ジークヴァルトにも気持ちの変化が訪れて…。
フィーネと護衛騎士バルの関係も深掘りされる、ツンデレコメディ第2巻。
ネタバレ感想
登場人物の心の成長は、読者の心の栄養分である。2巻もよかった。
ジークがリーゼへの気持ちを言葉に出来たのが尊い。素直になれない彼女をおもんぱかり、愛情を返してやる。2人の不器用な返歌よ。美しい。
リーゼも愛されている自覚を持てたらいいのにと思うが、物語の肝の部分なので、そう簡単に丸く収まっては困る。
一方、リーゼの一途さに突き動かされ、ジークに恋の自覚。王太子キャラなのに一切擦れず実直な彼の恋は、青春ドラマのように清々しい。2人には略奪愛のようなドロドロした関係性がなく、ストレートに応援できるのが嬉しい。
バルの無自覚はやっかい極まりない。直感的なフィーネとよい相性だ。
恋や愛の形は人それぞれだ。言葉であれ、行為であれ、その形を正しく理解し表現するには確かに時間がかかる。リーゼとジークは愛を自覚し表現する段階にあるが、バルとフィーネは恋の芽生えの段階。うずうずし、芽吹く、春。桃がこぼれるように咲くような、瑞々しい恋になるとよいな。
ツンデレ悪役令嬢リーゼロッテと実況の遠藤くんと解説の小林さん3
ヘタレ!!
物語の概要
リーフェンシュタール領で夏休みを謳歌するリーゼロッテとフィーネ。突如爆撃と共に2人の前へ現れたフィーネの母親は、意外な真実を明らかにして…?
遠藤くんと小林さんもついにデートをすることに!街中で出会ったある人物がこれからのゲームに与える影響とは?
現実とゲームとがじわじわ混ざり合ってゆく、第3巻。
ネタバレ感想
2巻はやや空気気味だった遠藤くんと小林さんの恋が進展。2人の身長差がとてもかわゆいのです。
現実は現実、ゲームはゲームで恋愛模様が進展するかと思いきや、謎の人物・久遠の登場で、一気に2つの世界が絡み合う。見せ方がとてもお上手でワクワクします。
今巻はリーゼの策略家っぷりに惚れ惚れしました。ページをめくって「ヘタレ!」の台詞が目に飛び込んできた瞬間、「そうーーーー!!誰かバルに言ってくれって思ってたのーー!!」と内心絶叫。
ようやくフィーネへの愛を自覚し、身を捧げる決意を強固にしたバルの前に、本人がご登場。クローゼットの中で三角座りして、両手で口をおさえ真っ赤になったフィーネ。可愛いがすぎる。弱り果て立ち尽くすバルの前で、脳筋の彼女がしおらしくしている様は、何て絵になるんでしょう。わたしはクローゼットになりたい。
しかしまあ頼りになるぞリーゼロッテ!と思っていたら、リーゼの心にも黒い影が忍び寄る。フィーネはゲーム内の記録がフラッシュバックしていたが、もしかしてリーゼにもifの世界線が見えているのだろうか。
どうか想い人を頼むぞジーク。バルのようにヘタれている時間はないぞ。