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冗長な戯言(たわごと)をつらつらと

BL漫画「根暗とギャル男」男子高校生2人の距離感がよい

創作BL漫画「根暗とギャル男」を読んだ。

 

www.pixiv.net

 

pixivを閲覧していたところ、pixivコミックの月例賞なるものを発見。7月投稿分で大賞を受賞していたのがこの作品だった。

 

tgcさん(@chim_orimos)が描く創作BLだ。

小学校の頃の友人、根暗なハナくんと再会した、ギャル男のともちゃん。2人の間のわだかまりや距離感を描く。

何がいいって空気感や間がいい。日本画のようにシンプルな線で、心情が端的に切り抜かれている。男子学生の日常の描写も自然。教科書に気持ち悪い落書きしちゃうとことか年頃の男の子っぽい。

展開がゆるやかなので2人の関係性を丁寧に追えるのが嬉しい。当たり前に続いていく毎日の中で、知らぬまに変化し揺れ動く思い…っていいですよねぇ!

 

「創作BL」のタグがなかったらBLだと気づかなかったかもしれない。何故なら直接的なBL描写がほとんどない。「…この2人、BLっぽくないか」「BLなのか?」「BL…だ…よね?」と内心首をひねりながら読んだ。男同士の友情を描いた漫画なら、BL目線で話を追うのは申し訳ないと思ったが杞憂だった。

この先もう少しわかりやすくBL展開になるのか、この空気感のまま日常を過ごしていくのか。どうなるのだろう。

 

 

ここからは登場人物への感想を少し。

 

ギャル男のともちゃんについて。

今も昔もお洒落に興味がなく、見た目のコンプレックスに悩む自分からすると、ギャル男のともちゃんを羨ましく思う。ギャル男とは多様性の象徴だよな、と思うのだ。

人がありのままに生きること、自分自身を好きでいることは、社会のルールやしがらみなんかでひどく難しいものだと思っていた。化粧もピアスも金髪も「不良っぽいよね」という価値観もあり、自分に当てはめることはなかった。「自分が最高」と言い切れる清々しさが欲しい学生時代だった。

 

性格が根暗寄りだから、ハナくんの気持ちは少し理解できる。

わからない点をそのままにするってひどく気持ち悪くて。改善できない過去や関係を放置する、そんな自分自身が憎いというかどうしようもなく思えてくる。そんな情けなさを、

「かっこいいんだよー」

の一言で吹き飛ばしてくれる存在が、学生時代にいてくれたら。身軽に肯定してくれたら。少しは肩の荷を下ろせるのかもしれない。

 

にしても「好き」って言葉は刺激が強すぎるよともちゃん。どストレートだよ。

乾いた地面にジョウロの水がひたひたと浸み込むように、甘い言葉は人を侵食していく。嬉しさと不安と共に。

ハナくんも気になっちゃうというか、もっと彼の言葉を欲しがっちゃうんじゃないかな。

 

漫画の中で特に好きなコマが2つある。

「かっこいいんだよー」の台詞を言うコマ。

あと、ともちゃんの目の表情が切り抜かれているコマ。

1コマ目は、天井どころか雲を突き抜ける勢いで清々しい心地がする。自分に言ってくれてるのかともちゃん。きみこそかっこいいよ。

2コマ目は、ただただともちゃんの瞳にハッとする。

キラキラしてるだけでなく、相手を見通すような透明な色合いがあって。きれい。

ぜひ探してみてほしい。

 

 

長々と語ってきたが、とりあえず「根暗とギャル男」読んでみて。

2021年9月中旬現在、pixivで4話まで掲載されている。BLに抵抗がある方も、さらっと読めると思うので1話だけでも読んでみてほしい。

2人にこれからも幸あれ。