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冗長な戯言(たわごと)をつらつらと

渡辺和子さんの「置かれた場所で咲きなさい」を読んだ

渡辺和子さんの「置かれた場所で咲きなさい」を読んだ。

 


置かれた場所で咲きなさい (幻冬舎文庫)

 

苦しみ悩んだとき、自身がどのようにしてこれまでの人生を生きてきたか描くことを通じて、読者に向けて心の有り様を教えてくれる。

渡辺さんはキリスト教カトリックの修道女で、学校法人ノートルダム清心学園理事長を務められた方だ。なので、本の中ではたびたびキリスト教流の考え方が登場する。

キリスト教は何となく苦手としていたが、渡辺さんの人生体験がベースとなった本書の語り口は好ましく感じた。柔らかな言葉選びをされており、平易に書かれているのも、心が弱ったときに縋る1冊として適していると思った。

 

わたしは感情の起伏が激しいときがあり、一旦落ち込むと回復まで時間を要する。

べそべそ泣いて眠るのが1番手っ取り早いが、心にわだかまりが生じて発散が難しいときは本に頼る。自身を励まし、フラットな状態へ立ち返らせてくれる文章を読み、心に栄養を与えるのだ。

「うつヌケ」や「道は開ける」なんかもそういう位置づけ。落ち込んだら、この本の中にヒントがあるかもと思える、避難所のようなもの。

 

こういった本は、時期によって心に響く箇所が異なるのも興味深いところ。

今回読んで考えさせられた部分をいくつか引用する。

 

 

 

笑顔で咲く

「咲くということは、仕方がないと諦めることではありません。それは自分が笑顔で幸せに生き、周囲の人々も幸せにすることによって、神が、あなたをここへお植えになったのは間違いでなかったと、証明することなのです」(略)

どうしても咲けない時もあります。雨風が強い時、日照り続きで咲けない日、そんな時には無理に咲かなくてもいい。その代わりに、根を下へ下へと降ろして、根を張るのです。次に咲く花が、より大きく、美しいものとなるために。

 

本を読んだ時期は、他者への不平不満が日増しに大きくなっていた頃だ。コロナ禍の身動きのとれなさや、物覚えの悪さ、金銭的に自立しきってない現年齢らしからぬ不甲斐なさ、自分の機嫌を取れない大人げなさ。それらが全てない交ぜになって、ふとした瞬間自身を苛む。そんなとき「笑顔で咲く」というのが妙に心に残った。

「笑顔が大事」とはこれまでの人生何万回と耳にしたが、ここにきて「自分から笑顔を発信する生き方も悪くないかもしれない」と思った。

咲けない時を仮定したセーフティーガードがあるのも、ハードルを下げていて取り組みやすいなと。ベイビーステップ大好き人間には助かる。

 

何かを悟る瞬間というのは唐突に訪れる。自己肯定感が少しずつ高まり、夢中になれるブログなるものが現れ、精神的土台が固まってきたからかもしれない。

笑顔をどれ程持続できるかはわからないが、日常の中に取り入れていきたい。

 

 

私のほほえみは、神さまのポケットに入ったのだ

自分が期待したほほえみがもらえなかった時、不愉快になってはいけない。むしろ、あなたの方から相手にほほえみかけなさい。ほほえむことのできない相手こそ、あなたからのそれを、本当に必要としている人なのだから(略)

私からのほほえみを無視する人たちがいました。そんな相手に”いきどおらず、美しいわたしであるために”、私はこう考えることにしたのです。「今の私のほほえみは”神さまのポケット”に入ったのだ」と。

 

この引用部分もやはり笑顔に関する箇所だ。

最近の命題の1つは「笑顔」であるらしい。

 

何度も言うが「笑顔が大事」なのは理解している。向けられた笑顔に癒されたこともあれば、笑顔を取り繕うとして泣きそうになったこともある。

ただ、笑顔も消耗するというか、枯渇する瞬間もある。見返りを求めてしまうときとか特に。

「神さまのポケットに入ったのだ」という一文は、尻込みしそうな背中を支えてくれる感じがする。行為自体に目立った成果が上がらずとも、目に見えない誰かしらが受け止めてくれるなら、勇気を出して笑顔を贈れる。この一文もセーフティーガードとして活躍するだろう。

 

 

本を一通り読んだが、キリスト教に入信したいとか、そんなに熱心な信仰は今のところない。教えを精神のセーフティーガードだと捉える程度の思考の持ち主だし。あと一神教より八百万の神々のほうが親近感がある。米粒1つ、草の芽1つにも神は存在すると思う。

ただ宗教でも何でも、自分が納得できる思考法がそこにあるのなら、拝借し人生に役立てればいいんじゃないかと思う。占いで、自分に利がありそうな結果だけを信じるように。そこには私自身が腰を据えて立っていなければならない。納得できない思想に、人生を悪戯に波立たせてはいけないと思う。

 

「置かれた場所で咲きなさい」の帯に「読み継がれる大ベストセラー 累計300万部」という帯がついている。それだけ誰かの役に立ち、多くの重荷を軽くしてきたのだろう。自分も「笑顔」という命題に出逢えた。

今悩んでいる出来事の何かしらのヒントがあるかもしれないので、気が向いた方は読んでみたらいかがだろうか。薄めの文庫なので、活字苦手な方も挑戦しやすいと思う。

 

最後に余談をば。キリスト教に入信する気はないと言ったが、ミサには興味がある。日曜日行われている…はずだよな。映画「天使にラブソングを」でしかミサの雰囲気は知らない。どんな風に行われているか、どんな雰囲気なのか非常に興味があるので1度は参加してみたい。

静謐な空気に包まれて、祈りを捧げるのはどんな心地がするのだろう。思いを馳せて、来るその日を待ちわびておく。

 

 


うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち 【電子書籍限定 フルカラーバージョン】 (角川書店単行本)

 

 
道は開ける 文庫版