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冗長な戯言(たわごと)をつらつらと

「悪役令嬢なのでラスボスを飼ってみました」を読み切ってしまった

あぁ~、読み終わってしまった。

ここ1、2週間で心を鷲掴みされてしまった小説、「悪役令嬢なのでラスボスを飼ってみました」を読了してしまった。

感想を残しておくので、読了前の方はネタバレに注意。

 

beans.kadokawa.co.jp

 

悪役令嬢なのでラスボスを飼ってみました:小説家になろう

 

久しぶりに寝食を忘れて没頭できた物語だった。

現実世界と切り離されて、活字の世界に没入し、炎天下の地面に放置された氷のようにとろとろと時間が溶けていく感覚を味わいたくて、本を読んでいるといっても過言ではない。学生の頃とは違い、朝日が昇るまでページをめくるわけにはいかなかったが、あともう1ページ、もう1ページと必死に続きに食らいついて読んだように思う。

 

乙女ゲームの世界に転生した主人公アイリーン。

ゲームの設定において、彼女は断罪される運命に囚われた悪役令嬢であった。

婚約破棄イベントのさ中、前世の記憶を取り戻したアイリーン。悲惨な運命をはねのけ、バッドエンドフラグを折るべく、ゲームのラスボスである魔王クロードの元へ向かい、彼に求婚するのであった。

 

強い女性主人公の話は大好きである。

断固とした意志をもって物語をハッピーエンドへと導く姿は、優柔不断で日々混沌としているわたしを束の間、幸せな気持ちにしてくれる。女って誇らしいな、格好いいなと思う。

まぁ、アイリーンは設定がちと突拍子もなさすぎて、彼女を励みにするという程、お手本にはならないのだけれど。

 

主人公アイリーンを影となり日向となり支えてくれる男性キャラクターは多い。胡乱で耽美な魔王クロードを始めとして、策士アイザックや、建築家ドニなどの商会メンバー。クロードの従者キース、片腕の魔物ベルゼビュート。

しかし彼らに守られているばかりではない、いや、単に守られることを是としないのが、アイリーンである。

彼女は自身の手練手管、手腕をもって、次から次へと襲いかかる乙女ゲーム的展開を乗り越えていく。

 

彼女の父親を少し語る。父ルドルフは皇国の宰相を務めており、家族が困り果てる姿を眺めるのが趣味という大変いい性格をしている。

よってアイリーンも策士家の血を引き継いでおり、ときに人心を掌握し、ときに根回しをし、はたまた食に薬を盛る。己の持つ全ての力を出し尽くして獲物を狩りに行くという姿は、モンスターハンターのような(ゲームは未プレイなのでイメージにしか過ぎないが)清々しさがある。

この物語は、彼女が自らの手で運命を切り開く、冒険譚とも言えよう。

 

タイトルに「ラスボスを飼ってみました」とあるように、ラブストーリーの側面も忘れてはならない。

わたしは女性主人公ものと同様、ラブストーリーも大好きである。はよ全員幸せになれと思いながら、いつも活字を追っている。

「悪役令嬢なのでラスボスを~」は展開が速く、バトルシーンも豪快で読み応えのある一方、とにかく「ラブ」の描写がじれったい。

いや!!まあ!!!それが!!!いいんだけども!!

お前らじれったい!!

「次のページではイチャイチャしてくれるんじゃなかろうか」

「この展開が終わったら、きっと必ず…」

とラブ見たさからも、ぐいぐいページを進めてしまう。

これら全て、作者さんの手の上で踊らされているんだろうな。楽し。もちろんちゃんとハッピーエンドなので安心して読み進めていただきたい。

 

 

そんな楽しい楽しい物語を読了し、日々の楽しみが1つ減ってしまったので、寂しい。

また没頭できる小説に出逢えることを祈りつつ、当分はアイリーンたちの冒険を振り返ったり、思いを馳せながら暮らすことになりそうだ。

いい小説は後を引く。この甘美な余韻を味わうこととしよう。

 

 
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